ある日、1人の妖精・メリルがお空をお散歩していました。その時… 突然強風に襲われ、うっかり魔法のフラワーステッキを落としてしまいました! メリル:やだ〜強い風!…あら、ステッキが!すぐ追いかけなきゃ… あたふたしながらも急いで地上へと向かいました。
ステッキを取り戻すため着いた場所は、なんと知らない病院の庭でした。 偶然外に出た、パジャマ姿にストールを羽織った一人の男の子が メリルのステッキを拾い、返してくれました。 男の子:これ、君が落したんだね? メリル:ありがとう、これがなくて困っていたの。何かお礼がしたいわね。
メリル:え…陸くん病気なの? メリルはお礼に、入院中の陸くんのお話を聞いてあげることにしました。 陸くん:ぼく、胸が悪いからもう何度も入院と手術の繰り返しだよ。ホント嫌になるよ… 心臓に病気を持つ彼は、今まで辛い入退院を繰り返してきました。 余命もあとわずか、最後の手術で自分でも必ず死ぬとそう思い込んでいます。 毎回同じこと続きでうんざりな表情を見せる陸くんにメリルは同情し、涙があふれました。 陸くん:泣かないでメリル、ぼく暗いのはいやだ。常に明るくいたい… お願い、ぼくを飛ばせて!死ぬ前に自由になりたいよ。 メリル:あなたがいなくなると、きっとみんなが悲しむわ。簡単に諦めちゃダメよ… メリルは、手術を控えている陸くんのためにもっと何かをしたい気持ちでした。
メリルと陸くん、仲良くなった2人はいつも一緒にいました。 陸くんの食事を手伝ったり、本を読んだり… ゲームに夢中の陸くんの気を引こうとしたりなんてことも。 メリル:ゲームしてないでお話聞いて! 一日の終わりには並んで寝ました。 メリルと出会えた陸くんのこころは少しずつ安らいで来ている様です。
いよいよ手術前日。楽しかった日々の表情は一変、2人は抱き合い、目には涙が… 陸くん:とうとう明日だね、どうしよう…手術したら死んじゃうのかな? いやだ、やっぱ死にたくない!メリルとせっかく会えたのに… メリル:そうよ…死ぬなんて言わないで、私も陸くんがいなくなるのは絶対いやだわ! 2人とも、こんなに泣いたのは初めてでした。 医者からは「心配ない」と言われているが、心はとても複雑です。
ついに、最終手術の日がやってきました。 陸くんは手術室に入り、酸素マスクと全身の麻酔で深い眠りにつきました。 メリルはひたすら神様に無事成功を祈るばかりです。 きっと諦めないと約束をしたことを忘れないで…
後編へ続く。
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